挑戦するエンジニアたち ヒストリー【12-3】 和智 右桂 氏

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DDDの翻訳と、自分ができることのギャップ

エンジニア写真そんな風に勉強をしていたDDDですが、翻訳に関わることになったのは、TDD(テスト駆動開発)の和田卓人氏がキーパーソンなんです。JavaEEの読書会が終わった頃、和田さんの企画で勉強会メンバーでデブサミに登壇させていただきました。その後しばらくして、翔泳社さんで進んでいたDDDの翻訳プロジェクトに和田さんの紹介で参画できたんですね。

書籍の翻訳はそのときが初めてでしたが、研究者時代に外国語の文献を読んでいましたので、文章を読むことに関しては以前からトレーニングされていたんですね。「このthatって何を指しているのか、ここはなんでtheじゃなくてaなのか」という細かいところまで一つ一つ文章を解釈して、丁寧に翻訳する。そういう研究者時代のノウハウが、DDDを翻訳する際にも役に立ちました。また、DDDは技術書というより思想書なので、マインドにも合っていたと思います。この本の翻訳をきっかけに、翻訳のお仕事やカンファレンスの登壇機会をいただけるようになりました。

すこし時間が戻りますが、最初の転職をしたのは、読書会に通っていた頃です。開発基盤構築の仕事を通じて、技術的には色々出来るようになったものの、下請け・孫請けという立場もあって将来的な不安が拭えずにいました。かといって次の一歩も見当たらず。そんなあるとき、なにかのきっかけでとうとう転職エージェントさんに相談したんですね。

そこで紹介していただいたのが、大手のSIerで共通基盤を作るという求人情報でした。無事入社が決まり、社内用の課題・進捗管理ツールの開発チームに配属されました。大規模といわれるプロジェクトのマネジメントの基礎は、そこで初めて学びました。大きなチームで仕事をするときのイロハを教えてくれた当時の上司には感謝しています。今思えば扱いにくい部下だったでしょうね。

その会社にいたのは2年ほどです。上流のSIerですし、仕事の内容は管理主体なんですね。製造はパートナーさんに依頼して、あとは進捗管理だけ、というような。自分の場合、プログラマから一気に上流に行ってしまったので、ものを作っているという実感を得られなくなっていました。マネジメントのノウハウもよくわかっていなかったし、プロジェクトという視点でものを見るということができませんでした。このままこの仕事を続けていても、ものを作れるようにならないのでは、と不安が募っていったんです。

翻訳も終わり、DDDについて登壇する機会をいただけるようになっているにもかかわらず、自分の仕事としてはまったくできていないという状態です。「DDDの開発をするにはどこに相談したらいいでしょう」というすごく真っ当な質問に、「自分に相談してください」と言えないわけです。そんな中、翻訳者として「Ericは本の中でこういうことを言ってますよ」という解釈だけを伝え、自分のDDD論について語らないように注意していました。とはいえ、講演に来てくださる方は答えを求めていますから、十分に応えられないことに悩んでいたことを覚えています。

顧客と二人三脚のものづくり

エンジニア写真ちょうどそのころ、冒頭でお話ししたQCon Tokyoがありました。そこで、グロースエクスパートナーズ株式会社(以下、GxP)の鈴木雄介氏と知り合うことになります。QConの前後、雄介さんとプライベートで話す機会があって、そんな悩みを相談したところ、「じゃあうちに来たら?」と言っていただいたんですね。GxPは仕事のほとんどがプライムの受託案件で、開発も多くの場合社内でやっているというSIerです。転職を考えだしてから他にも色々調べてはいたのですが、そういう条件が整っているSIerは見つからず、GxPへの転職を決意しました。

入社して最初に担当したのが、信用調査会社の与信情報販売システムをリプレイスする案件でした。その後は、一貫してそのお客様の仕事をすることになります。何年かかけたリプレイスの後、運用保守も一年以上やらせていただきました。構想段階からお客様とやりとりし、それを計画に落とし、実際にものを作ってお客様に返す。そんな一連のループが体験できたのが、GxPでの仕事でした。最終的なロールはいわゆるプロジェクトマネージャーですが、一般的なマネジメント業に加え、アーキテクチャ設計を行ったり、実際にコードを書いたりもしました。そう考えると、そこまでの経験がすべて役に立ったと言えます。断片的に学んでいたことが繋がったのが、GxPでの仕事だったと思います。

標準化はあえて行わず、考えることを止めない。お客様の要望と向き合い、常に最適なものを考えるというのがGxPの文化でした。ふりかえれば失敗も多く、色々とこうしておけばよかったと反省も多いのですが、自分にとっては貴重な経験でした。周りで支えてくださった方々に感謝しています。

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